神父メッセージ


プレゼピオ

待降節が始まると、どの教会でもクリスマスの準備が始まる。

教会の内外には電飾が施され、聖堂の入口付近や祭壇の側には厩(うまや)の模型が置かれる。

この模型をイタリア語でプレゼピオという。語源は「飼い葉桶」。

 

最初のプレゼピオは1228年にイタリア中部のグレッチョに作られたといわれる。

アシジの聖フランシスコが聖書に基づいて救い主の誕生場面を再現。

実際の人間と家畜が救い主の誕生を表現した。

 

ルカ福音書が伝える誕生物語のテーマは貧しさ。

お産のために整えられ、準備された家も場所もない。

生まれたばかりの赤ん坊は飼い葉桶の中に置かれる。

そこには虫もいただろうし、匂いもしていただろう。

すやすやと眠れる場所ではない。

新しい命の誕生を祝ってくれる人もなく、救い主の誕生は天使たちによって

賎民とされていた羊飼いだけに知らされる。

 

このように考えると、プレゼピオは、決して綺麗で、美しくて、

かわいくて、ロマンに満ちたものではないことがわかる。

両親は人々から無視され、泊まるところもなく野宿する。

白い布にくるまれて飼い葉桶(家畜のえさ箱)におかれた赤ん坊は、

すでにその子の将来の姿、死をも表している。

この子は最後の晩さんで自分を食べ物として与え、

ひどい受難をとおして、十字架刑で殺される。

遺体は白い布にくるまれて墓に葬られる。そして復活する。

 

プレゼピオは時代とともに整理され、まとめられ、今では綺麗な模型になっている。

しかし、最初のプレゼピオはそんなものではなかった。

臭くて、貧しくて、悲しかった。

しかし、その救い主の誕生は喜びのメッセージとして伝えられた。貧しい人たちに。

 

プレゼピオは2000年前のものではない。いつの時代も「今」を表している。

今、世界の各地では、とくにパレスチナのガザ地区では、

住む家を破壊され、妊婦も赤ちゃんも避難民となって逃げなければならない。

「救い主」は、わたしたちの手を通して「救い主」になる。

人々の叫びをイエスの叫びとして聞き、わたしたちが具体的に手を差し伸べる時に、

神の救いが実現していく。

「もっとも小さい者にしてくれたのは、わたしにしてくれたこと」(マタイ25章40節)とイエスは言っている。

 

 2023. 12. 24     主任司祭 ミカエル 山元 眞